「♪丸竹夷二押御池〜(まるたけえびすにおしおいけ)」という歌を耳にした方も多いのではないでしょうか?これは、京都の南北の通りを歌ったものとして先人の努力によって現在広く知られています。
かつて、京の町中では、子ども達が「わらべ歌遊び」に興じる姿がありました。
「わらべ歌」というのは、子ども達の日常の遊びの中で、子ども達自身によって歌い継がれてきたものです。この遊び歌は、その時々によって自由に作りかえられたりしますが、伝統的要素の強い口承文芸と言われています。殊に京都は、わらべ歌が多く伝えられている地です。
このプロジェクトでは、まず消えつつある「わらべ歌遊び」を、地域の保持者(多くはお年寄り)から取材し、教材として利用できるウェブベースの映像アーカイブ型コンテンツの作成を目指します。
そして、保持者から口承した「わらべ歌遊び」を学生自身が媒介者となって、小学校(同志社小学校依頼予定)でワークショップを行い、次代の子ども達につなげることを目的とします。
(小学校学習指導要領にもわらべうたを取り上げるように記載されています。)
なお、このプロジェクトでは、戦後京都における先人の歌の保存、記録、発表に学ぶのは当然ながら、地域や学区ごとに異なって伝承されてきた「わらべ歌遊び」の多様性に注視します。
さらには、小学校でのワークショップでは、教員の助言を賜りながら、一方的なレクチャーにならないよう注意し、今の子ども達が、子ども達自身のわらべ歌遊びを創造することに重きをおきます。
これらは、「わらべ歌遊び」が、作りかえられ現在に至る伝承であることからです。
これらを通して、京都の地に残る多様な「わらべ歌遊び」の記録保存を行うことはもとより、それらのうたに息づいた、言わば「京のこころ」というべきものを、口承と遊技の実践によって、より子ども達の年齢に近い大学生がつなげることになります。
また、地域からみれば、地域コミュニティと疎遠であるとされる大学生が、地域の消えつつある資源を利用し、高齢者と子どもたちを、つなげることになります。
これは、文科省の推進する「学校支援地域本部」(京都市では学校運営本部)にみられる、地域と学校をつなげる昨今の社会の要請に寄与することでもあるのです。
このプロジェクトでは、「伝承のあり方」について現代における意味の再構築を考える機会になることも期待しています。 |